
彫刻
テラコッタ
90×80×80cm
1点
深く耳を傾ける。
目に見えない不確かなものを感じ取るために。
そこには人を人たらしめるものだけがあって、形は無い。
求めるのは安らぎと、人間らしさ。
本作品は、テラコッタ(陶)による人体彫刻です。水面に腰掛けた人物が目を閉じ、周囲の音に静かに耳を澄ませる姿が表されています。作者はこれまでの制作を通して「人間らしさとは何か」という問いを探求してきましたが、本作においてそれは、目に見えない音を感じ取る行為としています。
目に見えないものを目に見える形として表そうとする試みは、芸術における根源的な目的の一つです。本作は一見すると古典的な形式と主題を踏襲しているようにも見えます。しかし、「人間らしさ」という抽象的な問いに対し、視覚ではなく聴覚を通じて応答しようとする姿勢には、作者独自の視点が認められます。
また、わずかな身体の傾きや繊細な顔の表情によって、静寂そのものが視覚を通して立ち現れています。あたかも音なき音が聞こえてくるかのような造形は、本作の大きな特徴であり、4年間で培ってきた技術の集大成となっている点も、高い評価を裏付けるものとなっています。