
修復保存
論文 1点
油彩 46×38.2×2cm×1点
2点
物理的損傷を受けた絵画の修復
本研究は、人為的ミスによって画布に損傷が生じた絵画の修復について、修復処置を行いながら画布に損傷が生じた際に加わった力の方向や修復対象作品に最も適した処置について研究するものである。作品に生じた損傷を基に実験サンプル作成し、その実験結果から絵画作品に発生する損傷について考察した。また、美術品の損傷防止対策について実際に文化財保存施設で行われている対策を参考にしながら、一般の家庭でも実践することができる方法についてまとめた。
郷愁の水車(仮称)
本作品は、油彩作品であることということは分かっているが、作者や制作年、作品タイトルなど作品の主要な情報が不明である。画面右上の角に画布の破れが生じていていたり、木枠が 1箇所正しくない向きで取り付けられていたりと謎の多い作品である。
本研究は、運搬時の落下による物理的損傷作品を対象とし、高度な修復技法から人為的ミスを防ぐ予防策までを体系化したものです。
特筆すべきは、最新技法「Single Thread Bonding」等の文献精査に留まらず、自ら検証を重ねてその有効性を実証した点にあります。先行研究をそのまま受け入れるのではなく、批判的観点と実験結果に基づく考察から最善の手法を導き出した誠実なプロセスは、高く評価されるべきものと考えます。
彼の真摯な探究心と繊細な修復作業は、貴重な実験データと修復事例を残しました。
学生作品の扱いに心を配ってきた彼は、本研究で「作品を未来へ繋ぐ大切さ」とともに、物理的に「遺す」ことの本質を深く追求したといえます。将来、この知見を携え、次世代へ「文化を遺すこと」の意義を問い、継承の担い手として重要な役割を果たしていくことを心から期待しています。