
絵画
アクリルガッシュ、キャンバス
162×130.3cm×2点
162×582cm
3点
外に出たくはないけれど、なぜか私は靴を描く。
出かける予定はないけれど、なぜか私は靴を買う。
歩くのに疲れて休みたい。そんな自分が情けない。
部屋があまりに汚くて、一畳分しか床が見えない。
あの映画の主人公は、一本で何歩も先へ行く。
今日を惰眠で過ごした私は一枚に何日もかけている。
何回考えたんだろうあと何年かかるのだろう。
一旦おいて今日は寝よう。
薄暗い部屋の中で、二人が並んで映画を観ている。そこには、何気ない日常の一場面が静かに描かれています。一方で、よく見ると、自分だけが部屋の中で靴を履いており、周囲には星のようにきらめくものが宙に浮かんでいることに気づきます。現実の風景の中に、どこか非現実的な気配がそっと差し込まれているのです。
作者は靴を好んでモチーフとして取り上げており、これまでも作品の中に幾度となく登場させてきました。なぜ靴を描くのか、その明確な理由は作者自身にもはっきりとはわからないようですが、靴という存在が、自分という人間を見つめ直すきっかけの一つになっているようにも感じられます。
こうした自己へのまなざしを重ねながら、映画の中で起こる非現実的な出来事を現実の世界に重ね合わせていくことで、作者は日常の中に潜む不思議な感覚を表現しています。本作は、ありふれた日常の風景の中に、静かに広がる想像の世界を私たちに示してくれる作品といえるでしょう。