
映像メディアデザイン
映像
10~20分
1点
就活の面接を終えた彼女は、帰りの電車で懐かしい夢を見る。夢の中でよみがえるのは、これまで歩んできた時間と、忘れたと思っていたはじまりの感覚だ。
本作は就活をテーマに、止まらずに進む時間の中で、若者が自分の原点と向き合う姿を描いた短編映画である。
この作品の特筆すべき点は、視覚演出と心理描写の融合でしょう。
単焦点の明るいレンズを使用し、手持ちカメラの揺れが心の不安定さを強調させています。
また逆光の光は失われゆく過去の輝きを象徴するかのようです。観る者を不安へと誘いながらも、いつしか「他人事ではない」と深く没入させる力を持っているのです。
何気ない日常の断片、電車の中、公園、海辺、台所、居間、焼肉を焼くシーンといった何気ない場面が印象深く重なり、なかでも「面接」のシーンは圧巻の一言に尽きます。人間の弱さに加え、不条理や理不尽な日常に追い打ちをかける様に日々の事象が訪れます。
“生きづらさ”をこれほどまでに繊細に記録した作品は稀有であり、その誠実な眼差しが審査員の琴線に触れ、高い評価へと繋がりました。
若者の迷いと孤独を優しく全肯定するような、魂に響く一作です。