絵画
油彩、キャンバス
194×519.6cm
作者は、幼い時から、他の友達にはできるのに自分には苦手なことがあった。一方で、絵が大好きであり「(友達、家族、先生も含めて)全ては生まれる前から神様にいただいた贈り物」だと言う。そしてこの絵の中には、「いろんな、私の感情がこぼれ落ちるほど溢れている」のだと言う。それらの思いを画面いっぱいにぎっしりと描いたのがこの作品なのである。
中央に大きく描かれた自分の分身と思われる麦藁帽子の子どもの頭からは、無数のイメージの断片が飛び出し変容を繰り返す。右にいる二人の頭部からも様々なイメージが溢れ、それらが大画面に大変な密度で描かれている。それらイメージの豊かさと描ききる集中力・描写力には驚きを禁じ得ない。いったい何人の子供たちが、おもちゃやぬいぐるみや動物や植物などが描かれているのだろうか。それでも描ききれなかった思いは、中央に描かれた想像の卵によって、今後さらなるイメージが生み出されることを暗示している。しかも、それらが個々の説明にならずいくつかの集合体として描かれたことで、ダイナミックな構図を生み出している。
描く喜びにあふれたこの作品は見る者をも喜びで包み込んでくれる。何時間でも見続けていられる大変な力作である。