コロナ禍での大学生生活は、高校時代に見聞きしていた大学生活とは全く別物でした。世界や大人たちが未曾有の経験をしている中で、大学生たちは二度とない青春を送っていました。誰のせいにもできない、誰にも八つ当たりができない生活は、ただ耐えじっと家にいるしかなかったのです。数年後私たちがこの時期のことを思い返す時、詳細な事件や心情を忘れ「大変だったなあ」の一言に置き換わるのだと思います。しかし本当はそんな一言では語り尽くせない何かを感じていたのです。いつの日かこの時期を過ごした事を懐かしさで語る彼らたちは、この作品を見る事で、乗り越えてきた、乗り越えられた自分たちを、力強く、自信と励みに生きていく時が来るのでしょう。曰く言い難いコロナ禍の大学生を見事に表現し、語り尽くした傑作です。