学校法人トキワ松学園 横浜美術大学 Graduation Exhibition Archives 卒業制作アーカイブ

映像メディアデザイン

清水 柊Shimizu, Shu

2021優秀賞
Tautology

アニメーション

映像 5分

教員コメント三橋 純 教授

ファインアートの表現では難しい“時の流れ”や“心の変化”など、アニメーションではこういった変化の表現は得意とするところです。作者は、時間の経過によってドラマを物語ったり、キャラクターをメタモルフォーゼしたりすることができるアニメーションの特性に早くに気づきました。多くの芸術作品や映画、小説に触れ人間の心の状態や変化に強い興味と関心を持ち始めたいのです。2年生の時にドローイングアニメーション技術を習得し、自分の感性を映像で表現し始める様になりました。好みのアートアニメを探し、研究と技術習得を重ねることによって、2D映像の奥行き表現や作画のタッチ、作品の重厚感などのコツを習得する様になっていきました。人間への猜疑心に端を発し哲学へと興味を持ち始めていき、卒業制作では「私とは何者なのか?」という難題に挑戦したのです。抽象的な空間の中に顔のない男が行き場を失いつつもなんのために生きているのか?人生とは何の意味があるのか?と自問するのです。人間の総体とし現れた男は、群衆に紛れ揉みくちゃにされながらもアイディンティティを獲得しようとし、やがて皮一枚内側に自分でも気づかなかった正体を発見するのです。作者の創作活動は今後も続くでしょう。この作品は必ずや作者の金字塔となり次作への指針なるのだと思います。