ポストヒューマン、ポストアポカリプスなどに興味を持っている作者は、在学中に多くの映画を鑑賞しています。退廃的な未来のイメージで表現したこの作品は、3DCGで制作されたオリジナルデザインのアンドロイドが、宇宙船かスペースコロニーか地球上ではない空間から物語が始まります。細部にまでこだわり抜いた数多くのパーツを組み合わせ、モデリングやレンダリングの時間を計画的に計算し制作を行なっています。膨大なレンダリング時間を有効活用し造形制作も手がけ、ラストシーンを現実の世界に出現させるためのインスタレーションが上映ブースに施されているのです。映像は一人で制作しているとは思えないほどの完成度で、作者の理想的で完璧な世界観を表象しています。3年次より制作スケジュールを管理し、実験と失敗を繰り返しながら其処彼処に合理的な制作の工夫がなされています。オブジェの素材も充分に吟味され尽くされており、音楽や環境音、機械音なども波形編集を行い全てオリジナルのものになっているのです。高得点で最優秀賞を得たこの作品は大学最高賞の金兎賞をも獲得しました。