「闇を抱えている人の方が偉いことなんてないでしょ。」

闘う少女の言葉で始まるこの絵本は、静かな美しい手触り感を持つイラストレーションで描かれています。
これは、1年次で画材の基礎を学んだ後の2年次課題「雑誌の誌面のためのイラストレーション」で西園さんが自分で発見し、施策と研究を重ねて生み出した表現です。
まず画用紙にアクリルガッシュで着彩し質感のある色紙を作り、スキャニングして集めました。丁寧に描かれた下絵に合わせてコンピューター上でその色紙を切り取り、コラージュしています。色調補正や加筆など細やかな作業もデジタルとアナログを行き来し、積み重ねて完成させました。
大人へと変化する時の中にある痛み、寂しさ、苛立ち、閉塞感、そして脆さと強さ...今しか描けない思いを描き切った秀逸な作品です。

「道徳の教科書で殴ることは正しいの？」
この作品の少女に突きつけられる問いを、私達は永遠に抱き続けるのかもしれません。