２０世紀抽象表現主義を代表するアクションペインターであるジャクソン・ポロックを想起させるドロッピングの手法を、ファッション、ブランディングデザインに応用、展開したパワフルな意欲作です。デザインワークは通常、コンセプトワークやデザインワークを計画的に進めることが一般的ですが、この作品は限りなく「アート」に近い方法論で制作されています。その最大のメリットは、自分の創造的な感覚を思うままに、時には偶然性、アドリブを味方に、勢いよく疾走するように制作に打ち込めることです。それは一見シンプルなことに思えますが、制作者自身の中に揺るぎないテーマ性があり、表現に確固たる自信がなければ成し遂げられないことです。現代を席巻する合理的で経済的なファストファッションの対極として、大西さんが提案するアーティスティックで唯一無二なファッションは、時代が求めるクリエイティビティのあり方をまさに再定義する、デザインの果敢な挑戦であると断言できます。