写真
写真
320×118cm
5点
この「朝凪の記憶」は、作者自身の大好きな海への想いが投影された作品です。
作者は、波打ち際に立ち水平線を見る時、それが朝でも昼でも夕暮れでも、水平線の彼方へ吸い込まれ溶け込んでいく様な錯覚をし、癒され安心する時間だと言います。波の音や風の音、潮風や太陽の温かさを肌で感じ、ちっぽけな自分の存在を再認識するのです。
眼前の海と向き合い“人類は海から上がってきた”という通説を感じます。母親の体内にいる間も私たちは羊水に浸り、誕生と共に、まさに地上へ上がり呼吸を始めることで存在し始めます。思春期を迎え対人関係や家族、友人、恋人など自分らしさと他人行儀が入り混じり、息苦しさを感じることもあります。眼前にそびえ立つ水平線は何時も、私たちが地上に降り始めて息をし始める瞬間を思い出させるのです。巨大な写真によって鑑賞者に水平線と対峙させることで、人類が初めて呼吸をする瞬間を私たちに与えてくれるのです。