学校法人トキワ松学園 横浜美術大学 Graduation Exhibition Archives 卒業制作アーカイブ

絵画

金木 凌成Kaneki, Ryosei

2024優秀賞
悲哀

油性ペン、キャンバス

130.3×72.7×3.3 ×2点
162.1×91.0×3.3 ×3点

計5点

制作者コメント

優しく強くなろうとしていたロボットが、今はただ静かに朽ちていく。
かつて必死に生きたその姿は、寂しさと悲哀に包まれ、無力の中に沈んでいる。

教員コメント横湯 久美 教授

支持体は一見すると紙のように見えますが、これらはキャンバスの上に油性ペンで細密描写された絵画です。画面を埋め積み重ねられた線の迫力は、キャラクターのポップな表情とは異なる切実な「悲哀」を伝えてきます。また、倒れたロボットが、5枚全ての絵の中心に繰り返されることで、何か訴えがあることを感じさせます。
「優しく強くなろうとしていたロボットが、今はただ静かに朽ちていく。かつて必死に生きたその姿は、寂しさと悲哀に包まれ、無力の中に沈んでいる。」作家の言葉です。
ロボットの周りには、愛情を象徴する天使、自由を感じさせる飛行機、世界を構成する様々な生物や植物が生命感を持って描かれています。無気力に倒れ、世界に取り残されたように朽ちていく画面中央のロボットにとって、周りの明るく活発に動き変化する世界こそが絶望であると、彼は話しました。しかしその明るさは、様々な生物と共に生きる力であり、希望でもあるのだとも説明しています。