学校法人トキワ松学園 横浜美術大学 Graduation Exhibition Archives 卒業制作アーカイブ

絵画

萩野 成美Hagino, Narumi

2024最優秀賞
日々

油彩、アクリル、
ジェッソ、布、パネル

162×112×3.5cm

8点

制作者コメント

これらの作品は、道に吹く風の感触、背後に感じる何かの気配、暗い穴から漂う異様な空気など、自身の持つ感覚を元に制作した油彩画です。それらは言葉にすることが難しく、穏やかで暖かい日々と同じように漠然としたものだと感じます。

教員コメント横湯 久美 教授

この作品は、パネルに布地を貼った支持体にアクリルと油彩で描かれています。100号8枚を4枚に組み2対に仕立てています。見上げるほどのサイズであり、見応えある展示となりました。
「道に吹く風の感覚、背後に感じる何かの気配、暗い穴から漂う異様な空気など、自身の持つ感覚を元に制作した」と作者は語っています。花瓶の置かれた空間、カーテン、窓から入り込む風や光、家の外壁のような場所が描かれてはいますが、ここでメインとなるモチーフは、眼に見える何かではなく、日々の生活の中で受け取った「感覚」や「気配」です。作者が伝えたいのは、感覚を研ぎ澄ませ、光と風と時間の間を読み解くようにして、ようやく捉えることのできる何かがあり、そのような目に見えないもので、世界は溢れていると言うことなのでしょう。
「見える」ことの先には「見えない」ものがあり、真実とはそう易々とは見えない、ししかしそれらをどうにか表現していくことこそが、美術・ファインアートの役割の一つであると気づき模索し、制作を進めてきた成果です。