学校法人トキワ松学園 横浜美術大学 Graduation Exhibition Archives 卒業制作アーカイブ

絵画

徐 果果XU GUOGUO

2024優秀賞
私の実家の部屋はこんな空気が流れていた

油彩、キャンバス、色鉛筆、
布、綿、糸

可変

制作者コメント

私にとって、大切な人と過ごした時間はかけがえのないもの。誰かと関わることで生まれる絆は、やがて温かさとなって心に残る。 幼い頃、家族と築いた絆が、私の幸せの記憶の始まりだった。 過去の暖かい思い出は、思い出そうとしてもはっきりとは浮かんでこない。それでも、心の中には確かな温もりが残り続けている。心に残る温もりを感じながら、作品と向き合った。 作品を通して、誰かの心にそっと温かさを届けられることを願っている。

教員コメント横湯 久美 教授

油彩や色鉛筆で描かれた絵画群と、大小の大量に作られた布製の人形によるインスタレーション作品です。作品の核をなす一番大きな人形は、全長5・6メートルはあるでしょうか。スケールがある空間を作っています。各所に山積みされたり吊られたりするユーモラスな人形は空間にリズムをあたえ、穏やかな雰囲気を演出しています。
曖昧でありながらも心の奥にある、幼き頃の遠い記憶をテーマに制作されています。絵を描くこと、縫いものをすることの中で、薄れつつある記憶を探り確かめるように、制作を進めたと作者は語ります。目に見えなくなっても、人の心に残り、作家自身の今を強く支える温かな「過去」についての考察です。
モチーフになるのは、作者の個人的な家族との思い出ですが、作品を構成する柔らかく優しい質感、色、形は、観る者がそれぞれに持つ遠い記憶にまでやわらかく入り込み、普遍的なものを与えることに成功しています。