映像メディアデザイン
映像
世阿弥が残した「真の花」とは、時を経ても色あせない真の美しさや真価を意味する。自分にとっての真の花は、過去の体験や感情が複雑に交じり合い、無意識の中で形成された独自の世界が現世とつながる瞬間に咲くものである。
この作品「花」は作者自身の記憶と内省イメージを元に制作された作品です。
小さい頃の記憶や体験は、美化され強いイメージとして残る場合と、醜く恐れをなす怖いイメージと不思議で捉えどころのないイメージを美しいフルCGの映像によって表現されています。
能面や雅楽を見た幼少の記憶は、現実とは思えない幻の様な記憶へと転化され、幼少期好きだったお祭りや縁日、公園や丘から見える海の風景などと重なります。
幽玄の世界はまさに浮世を離れ、桃源郷を生み出すのです。極限まで説明や文字情報を省き、心的イメージを鑑賞者に体験させることで、鑑賞者もまた圧倒的な没入感浸るのです。既視感や郷愁感を携えたこの作品のイメージは、私たちの集合的無意識の琴線に触れるのです。イメージを厳選する為、作中の雅楽も作者自身で作曲しました。