映像メディアデザイン
動画
3分
自分の歩んできた人生を巡り、
心の片隅でそっと布をかけて隠していた思い出と後悔を振り返る。
記憶の象徴として、半透明のベールで包まれた幽霊が夕暮れの中、静かに佇む。
そして自分も布を被り、自分の人生に向き合っていく。
この3DCG作品「Concealment」は、作者自身の実体験を元に制作された作品です。今までにも映像メディアデザインの卒業制作で、フルCGの作品は多く制作されてきました。しかしその多くはロボットの表現や近未来、デストピアの表現でした。この「Concealment」の様に自身の内省に触れる作品はほとんどありませんでした。幼少期の体験や記憶に残っているイメージなど、それが自分に起こった現実なのか或いは夢なのか空想なのか思い込みなのか。この作品は幻想の中を歩くような抽象的な映像によって表現され、仮死状態で浮遊したイメージを鑑賞者に与えます。
作者はこの作品を身を削る思いで渾身の作品として提出しました。3DCGといえば近未来やロボットや宇宙を表現する作品が多い中で、敢えて自身の過去の記憶を辿り、現在に至る自身の足取りと心的イメージを映像化し試みは3DCGの可能性をもたらしました。作者がこれからの歩みへと繋がる、将来の希望と絶望の間に、まさに鑑賞者をも立たせるのです。今まで見たことのない抽象的なセルフドキュメンタリーとしてCGが使われる稀有な作品であり圧倒的な世界観と美しさに高評価を得ました。