イラストレーション
グラフィックノベル
27.7×19.6cm
1点
少年の目的はただひとつ。戦争のない世界を作り出すこと。タイムマシンを使って過去を変えようとするも、毎回その先に待っているのは、避けられない戦争の悲劇。何度繰り返しても、戦争の悲劇は変わらず、さらには命を狙う敵が少年を追い詰める。それでも少年は諦めず、未来を切り開くために戦い続ける。
イラストレーションとコミックが合体したアート的表現であるグラフィックノベルのジャンルは欧米で盛んであり、近年日本でも多くのクリエイターが作品を発表している。
酒井さんは大学での課題制作の中でペン画を用いた精密なドローイングを続け、優れた作品を生み出してきた。卒業制作ではその表現技法を活かしグラフィックノベルとして表現した。
世界が崩壊するディストピア世界はコミック、映像と様々なメディアで表現されてきたが、彼自身、そのような作品に触れる中でいくつかの課題でも「滅び」をテーマとした作品を制作してきた。その自身の世界観をこの作品に込め、緻密に絵が構成されたデザイン的にも洗練された一冊となった。彼が描くカタストロフィーの光景には一種の開放感すら感じる。
その場面をコラージュし、大型のターポリンに刷り出した展示を行うことで鑑賞者は彼の描く世界に没入することが出来る、迫力のある表現となった。