イラストレーション
97×162×3cm 1点
130.3×162×3cm 1点
イラストレーション
計2点
本作品は、不老不死の薬《アムリタ》を製造・使用している世界を描いている。地下世界では、アムリタの原液をクラゲが頭部の小さな穴から吸い上げている。地上世界では、人々が球体型飛行体で花に接近し、アムリタシャワーを浴びている。不老不死になって喜ぶ世界と、生物たちの悲しみに満ちた世界は対比をなしている。
イラストレーションのジャンルではファンタジー世界を描くものも多い。
伝統的な民話や神話を起点として自由な世界観を発想し書かれた作品は映画やアニメ、ゲームなどの設定画として現代のクリエイターを魅了してきた。
沼田さんはインドの神話「マハーバーラタ」の乳海攪拌から着想された題材を伝統的な日本画の技法を用い、不老不死薬のアムリタが製造される「乳海攪拌」の装置を独自の発想で描き出した。
日本画技法は作家自身こだわり続け課題を通じて研究を重ねてきた成果でもある。
また「乳海攪拌」の仕組みについて図説で描き起こし、更に詳細を冊子として記述した。インドの神話を読み込み、伝統的な物語を研究しそこから自由な発想で科学的世界を作り出す姿勢は、海外のSF作家フランク・ハーバードやクリストファー・プリーストにも通じる。
絵画で作成された画像作品のみならず、アムリタのプロセス工程までを楽しんでもらいたい作品である。