クラフト
金工・鍛造・布目象嵌/
鉄、銀、漆
150×180×90cm
1点
暴れている鯰を縄で押さえつける作品を制作した。
縮図を変え、反転させた日本列島から伸びている縄は要石の場所から出ている。
暴れる鯰が地中深くまでいかないように抑えているのだ。
私は鯰が暴れないでいてほしいと作品を通して心から願う。
この作品は、熱した鉄を叩き、鍛金技法と溶接を駆使して形作られた、力強くも繊細な作品です。表面には布目象嵌という技法が施されており、金属の硬質な質感の中に、布目象嵌の繊細な装飾が施されております。作者は在学中、日本の伝統工芸に深い興味を持ち、その研究に情熱を注いできました。この作品には、その研究の成果が随所に現れており、伝統的な技法に対する深い理解と、それを現代的な感性で表現する卓越した技術が感じられます。
作品のコンセプトは、安政地震後に流行した「鯰絵」を立体化したものです。当時の人々は、地震は地中に棲む巨大な鯰が暴れることで起こると信じていました。鯰絵は、その鯰を題材にした戯画であり、当時の世相や人々の願いが込められています。この作品は、その鯰絵の世界観を立体的に表現することで、歴史的な背景と現代的なアートの融合を試みています。伝統技法と現代アートの融合、そして歴史的な背景を持つコンセプトとなっております。