学校法人トキワ松学園 横浜美術大学 Graduation Exhibition Archives 卒業制作アーカイブ

クラフト

波多江 日依Hatae, Hiyori

2024優秀賞
たぬき山

金工・鍛金/
銅板、鉄

180×80×70cm

1点

制作者コメント

一枚の金属を叩き続けて作る「一枚絞り」で制作しました。一枚の銅板を金槌のみで曲げ続け、最後に細かい部分を鏨で成形しました。
モチーフはたぬきで、どこか現実のような雰囲気を目指し制作にあたりました。コンセプトは、時がゆったりと流れる田舎町のバス停で待っているたぬきです。

教員コメント丸山 祐介 准教授

この作品は、一枚の銅板から鍛金技法を用いて制作された、たぬきがバス停に佇む姿を表現したものです。作者は、2年次後期に鍛金技法と出会い、その魅力に惹きつけられ、精力的に技術の修得に励んできました。鍛金とは、金属を叩き、打ち出すことで成形する伝統的な工芸技法です。この作品では、伝統的な技法を駆使しつつ、現代的な感性でたぬきの愛らしい姿を捉えています。バス停に佇むたぬきの、どこか物憂げで、それでいてユーモラスな表情は、見る人の心を和ませます。銅板の持つ独特の質感と、鍛金ならではの力強い造形が、たぬきの存在感を際立たせ、まるで物語の一場面を切り取ったかのような、豊かな情景を生み出しています。伝統と現代の感性が融合したこの作品は、鍛金技法の奥深さと、作者の卓越した技術、そしてたぬきへの温かい眼差しを感じさせる、魅力的な作品です。