テキスタイルデザイン
友禅染
絹、酸性染料
420x420cm (平面)、
195x142x142cm (立体)
2点
作者自身の緑に対する記憶と成長をテーマとした友禅作品は、自分の原点となっている記憶を表現したタペストリー部分とタペストリーにある展開図(白い部分)から出来きた成長の証としての「家」で構成されている。色面に糸目で描かれた数字は流れ去った時間の記録を表している。手描き友禅の糸目糊置きや色挿しの手作業は自分の記憶を綴る行為と似ている。作者は友禅染の工程をよく研究しており、表現したい記憶や時間の流れなどを作品と制作過程の両方で常に意識され、制作工程自体がパフォーマンス作品となり、その到達点、つまり現在が作品となっている。技術的には少しラフさが目立ち、友禅技法のきめ細やかな配慮に欠けると批判もあるだろうが、時間の速さを感じさせる勢いと捉えるべきだろう。コンセプトが明快に示されており、構成的にも非常に考えられた存在感のある秀作である。