修復保存
論文
パネル
修復報告書
3点
今回の卒業研究・制作は学生の実家で長く飾られ傷んでしまった扁額(へんがく)作品を修復し、再び飾ることができるようにすることを目的として行われたものである。扁額の修復には、扁額の構造を理解するとともに、表具に関する知識と表装技術を身に付ける必要がある。中でも表具の基本技術であり、その難しさも知られている「裏打ち」と呼ばれる、作品の裏面に補強のために和紙を貼る技術をしっかり身に付け、今回のような大きな作品の裏打ちを一人で行うことができるようになったことは高く評価できる点である。作品をよく観察し、修復後の扱いを考えた上で、どのような処置が必要か、どのような手順で行うかを決めることが修復を行う際に最も大事なことである。修復方針を定め、処置工程を計画し最後まで修復を行うことができた点は、本人の自信につながったと思われる。自身が修復を行った作品が再び実家に飾られるのを目にすることで、作品への想いも強くなり、さらなる技術の向上につながっていくことを期待している。