絵画
平面
油彩、キャンバス
194×156×5.5cm 3点
162×130.3×5.5cm 1点
4点
絵画を観るとき、私たちは、そこに絵画空間があればイリュージョンとして捉え、観ようとすることでしょう。この作品の中には、そうしたことに対して拒絶させられる仕組みが至るところに散りばめられています。
例えば、一部を削り取られた支持体であったり、フラットに塗られた白い色面であったり、あるいは支持体側面への描画であったりなどです。これらは、私たちが絵画空間へと入り込み、その中を彷徨っていくと、支持体の削られた部分から現実の壁面へと視線が移り、現実空間へと引き戻されます。また、白い色面によって平面性が強調されると、絵画が絵画空間であると同時に、支持体に絵具が載っただけのただの物質であるということに気づかされます。
「私の作品は、場を作ることで絵に深く入り込み過ぎないようにしている。」と作者は言います。「場」とは、ここでいうそうした仕組みのことであり、鑑賞者に絵画空間と現実空間とを行き来させ、その狭間の不確かな次元を彷徨わせてくれます。そうした体験をしながら、無機質でもどこか温かいこの動物のいる世界に、私たちはいつの間にか魅了され、どっぷりと浸ることになるでしょう。