学校法人トキワ松学園 横浜美術大学 Graduation Exhibition Archives 卒業制作アーカイブ

クラフト

田原 真央Tahara, Mao

2023優秀賞

金工(オブジェ)

110×180×145cm

1点

教員コメント丸山 祐介 准教授

この作品は「還」という題名が与えられている。石の中から鉄が生まれ、その鉄素材を用いる石に見立てた作品が誕生し、やがて朽ち果て土に還る。それがまた石になり……というように、めぐりめぐる中で常に変化していく「もの」の在り方を作者は考え、還暦や還元という熟語に用いられる「還」が適当だと思いこの題名にしている。
鉄の板材に石の表情を付けるために丹念に金鎚で叩き模様を付け、その板をガス溶接で継いでいく。バーナーで加熱し酸化膜による表面処理を施すなど、石の肌に近づけるために作業が繰り返され、約5ヶ月に渡る卒業制作期間全てを使い切った。構成は一つの石が割れたように見せる構造となっており、断面は丁寧に研磨することで鉄らしい表情に差をつけている。細部にまで拘った、ひときわ緊張感と風格のある作品が仕上がった。