修復保存
書籍
論文
20冊
本研究は、図書館業務の中で実施可能な修復処置は何かを考えることを主題にして行われたものである。図書の修復は、ページ(紙)の修理をするだけでなく、本の綴じ方、見返し紙の接着方法、表紙の素材や本文紙との接続方法など修復に必要となる情報は多く、本がどのように作られているかを知ることが修復の第一歩である。本研究では、とくに図書館で利用されることの多い現代の図書を焦点に本の構造を知り、必要かつ適切な修復を行えるように1年間製本、修復を実施してきた。製本方法、損傷の異なる図書の修復を行い、修復処置に必要な技術の考察、処置にかかった時間と費用を記録することで、図書館業務の中で通常作業と並行して行うことができる処置か、専門家に依頼しなければならない損傷かを判断する基準について考察した点は評価に値する。また、排架方法の違いによる図書のゆがみ発生についても事件を通じて探究することで、、本の取り扱い方により損傷を防ぐことができることを報告できたことも本を扱う方々にとって有効な研究結果であったと言える。