修復保存
テンペラ画
ランバーコア、杉(小割材)、ウサギニカワ、ジェッソ、ボーロ、顔料、シェラックワニス、岩絵具
10×14.8×2.7cm×3点
10×14.8×2.7cm×6点
本研究は、宗教画に触れた経験をもっていた学生が、3年次にルネッサンス期の黄金背景テンペラ画の模写をすることで興味を持ち、当時の宗教画の肌色における古典技法とその表現方法における下色がもたらす効果についても、技法・文献の両面から研究を重ね、その成果を部分模写で再現・発表したものである。
当該時期の肌色の表現技法に関する文献・資料は限られており、個々の作家、地域・時代により表現方法も異なる。その下色の特徴を研究・再現するためには、作家ごとに複数層の色を塗り重ねた多数の実験サンプルを作成し、当時使用されていた天然顔料が入手できないため、代用品についても検討する必要があった。
模写における色彩の再現は「作品を観察する・理解する」「使用されている画材やその表現技法を調べる」といった要素なしには成立し得ない。それはまた修復において重要な作品調査とも結びつくものである。本コースのカリキュラムにおいて十分な達成であると評価できるため、今回の評価となった。