イラストレーション
油彩、キャンバス
100×80.3cm
4点
イラストレーションは絵画と商業芸術の狭間に存在しています。多くはクライアントの要請に基づいた作品制作を行うことが中心となりますが、自身のテーマを追求する制作の傍らで、そのテーマに近いクライアントとの仕事を行うこともあります。作者はそのようなアプローチで作品作りをしてきました。
「人」というモチーフに興味を持ち、3年間の課題を通じて解剖学的な観点から絵画的な手法で人体表現の研究をしてきました。その成果がこの作品群にも現れています。古典的な西洋絵画の手法を用い、油画で描かれたストイックな黒い画面に浮かび上がるモチーフは、人間の視覚や味覚、触覚といった感覚を表し、見るものはそこに凝縮された感覚を共有することができます。最終的な構図が決まるまでは何度もモチーフを書き直し、構図の変更を行う過程で、多くのモチーフが黒に塗り込められ、最終的に絞り込まれた形となり、その結果、重層な表現につながっていきました。