修復保存
論文
油彩
修復報告書
23.7×32.7×2.7cm
本研究の対象は、一般の油彩画の支持体とは異なる紙製支持体(藁板紙ボード)である。このため修復症例も少ない。その作品の組成・劣化要因の研究と処置方針についての検討過程において、「作品を長く保存するために必要な処置」について深く考察し、損傷の原因要因を取り除くことで修復の介入を減らす予防的処置の必要性に気づき、さらに後世での再修復のための段階的処置をも可能とした保存的修復処置と予防的修復処置を考案した点が、修復の総合的な理解と判断を必要とする研究として高く評価された。
今回の研究では上述の方針に則り、特殊な専門機材と道具による緻密で繊細な修復作業を進めたことで、本体目止め層の撮影など貴重な修復事例を残すことができた。
また、絵画コースから修復保存コースへと進路変更したことにより、作品への向き合い方と取り扱い方を異なった視点から見直す契機となったことで、その重要性についても触れている。