学校法人トキワ松学園 横浜美術大学 Graduation Exhibition Archives 卒業制作アーカイブ

修復保存

重森 優利Shigemori, Yuri

2021優秀賞
浮世絵版画における修復保存の研究 -水洗処置に伴うリスクの考察-
豊原国周「東海道 水口」の修復後作品
豊原国周「東海道 水口」修復報告書
水洗処置実験の比較サンプル
中性保存容器

論文
木版画
修復報告書
和紙、顔料、染料、ピュアマット

60頁
367×253mm
10頁
284× 322mm×2点

教員コメント田川 奈美子 講師

本研究は、浮世絵の修復および修復後の展示を行うために、浮世絵の特徴を知り、どんな方法で修復・展示を行うことができるのかを学生自ら考え、実践するためにおこなわれたものである。
紙作品の修復の中でも、浮世絵の修復は難しいと言われている。その大きな理由は、浮世絵に使用されている色材にある。水ににじみやすい色材を使用しているため、修復において水の使用が制限され、水を使用する処置に技術が必要になるからである。
これまで学んできた修復技術の中で、学生自身が最も興味を抱き、最も驚いた、紙を洗う「水洗」処置を、水洗処置が難しい浮世絵の修復で行うため、テストピースを作り実験、検証を行っている。
また、今回本人が力をいれたのは作品の修復だけでなく、作品の背景を調べることと修復前の調査および修復方針の立案である。
修復方針を立てることは、修復を考える際にもっとも重要なことであり、作品の状態をよく観なければ考えられないことである。また、作品の修復は損傷・汚損などを改善することだけが目的ではなく、今の状態を守ることも目的となる。これらのことをふまえ、修復前に浮世絵の特徴を理解したうえで、作品の調査を念入りに行い、最適な修復方法を見つけるために必要な実験を行った本研究は、修復を行う目的と意味を十分理解した内容であると言える。
作品の修復を行う際に大事なことは何かを考えて、その答えを見つけ、学生本人の技術で行える修復方法を選択し実践できたことは高く評価できる点である。