写真
写真
200×300cm
作者の故郷である三宅島が年々過疎化が進み、10年後どうなってしまうかと考えているうちに写真の記録性に気づいたのです。三宅島の現在を残すことは、自分の生い立ちや記憶を残すことになるのです。何気なく島に帰るたびに撮影していた写真が、自分のためだけではなく、実は島にとってもとても大切な記録であったことに気づきそのことをコンセプトに卒業制作としてまとめの作業に取り掛かったのです。作者は出生以来島に育ててもらったという意識が強く、島民は家族であり兄弟の様なものであると強く感じています。照明を受けキラキラと反射するベースとなっているブルーシートは海に見立ており、作者自身が平成の三宅島噴火の時に生まれたので被災地のシンボルにも見立てられているのです。島の形状に合わせ写真をコラージュし、当初は溶岩や流木、乗船チケットなど縁にまつわるものを貼る計画で進めました。作品が重くなったりゴチャゴチャし過ぎるので、取捨選択をしながら最終的には写真だけで構成することに決めました。コンセプトシートのテキストは、作家の想いの詰まった名文で綴られ、卒業制作によって自らの現在とこれからに楔を打つ様な作品となっています。写真の記録性、自らの記憶、そして芸術表現とが全て融合し等身大の今と私を体現した作品となり高評価を得ました。