写真
写真・インスタレーション
200×500×400cm
街が一転してしまった2020年。大学最後の1年は多くの人と話、遊び、制作に励もうと思っていた矢先の事態でした。当初の卒業制作の企画は、飲み屋街の看板を撮影し、その看板の写真を見ているだけ人々の笑い声や笑顔が想像できる写真インスタレーションを計画していました。ところがコロナ禍の自粛の日々が続く中で、飲み屋街はひっそりと人影もなく、ただ寂しそうな店主と提灯だけが照らされているのを目の当たりにしたのです。作者は取材中にフッとある一件の居酒屋に入り、店長と話し込んだ末、表現を変えようと思いつきました。写真インスタレーションで空間を作り、その空間に入った人が飲み屋街に入ったように楽しくなれれば、と方向を転換しました。一人カメラを持って新橋、新宿ゴールデン街、大井町、蒲田、伊勢崎町を撮影して回りました。大きな提灯のタペストリーを中心に、このインスタレーションに入り込むと、人々の笑い声が聞こえ、音楽が聞こえ、グラスや食器の音が聞こえてくるのです。そしてまた街や店に賑わいと活気が戻ることを願わずにはいられなくなるのです。