学校法人トキワ松学園 横浜美術大学 Graduation Exhibition Archives 卒業制作アーカイブ

映像メディアデザイン

門野 明美Akemi Kadono

2020優秀賞
眠る本

インスタレーション

サイズ可変

教員コメント三橋純 教授

この作品は、作者自身の生い立ちや経験に基づく事柄をベースに、夢や記憶、思い込みや既視感など、作者を取り巻くあらゆるイメージを層に重ねた作品です。虚実が入り混じり作者本人でさえも真実を見失いそうになりながら、作品を通じて見たことののない兄弟と出会うのです。この作品『眠る本』の魅力は、展示空間そのものが母親の体内を思わせる点にあります。作品を鑑賞した者は、胎児のエコー画像を通し体内回帰の安堵や不安に満たされます。予知夢のようなテキストに溺れてゆく様は、夢野久作の『ドクラ・マグラ』やフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を思わせるようでもあります。私とは何者か?私は何処へ向かっているのか?といった人類の問いを凌駕し、作者のイマジネーションに伴走された私たちはこの迷宮の穴にはまり込んでゆくのです。