学校法人トキワ松学園 横浜美術大学 Graduation Exhibition Archives 卒業制作アーカイブ

ビジュアルコミュニケーションデザイン

久冨 史織Shiori Hisatomi

2019最優秀賞
湿地

写真
紙、インクジェットプリント

145.6x103cm

3点

教員コメントリースナー 准教授

久冨さんの作品は、常にシンプルで静かな、独特な世界観で表現されていました。その強さと儚さを持ち合わせたデザインの数々がとても印象に残っています。今回の卒業制作でも、久冨さんの繊細な感性による「いつかは朽ちていく生命」への鋭い洞察から、詩的な作品が生まれました。記憶の中にあるような強烈な印象と曖昧さをあわせもつ作品は、鑑賞者にゆっくりと共感を与えます。この写真は、3年次から試行錯誤を繰り返し研究した、オリジナルフィルターを使った撮影によるものです。この技法による甘く暗い色調が、彼女の独特な美意識として表現されています。「花を撮る」という極シンプルなテーマですが、丹念な研究成果の結果、スケール感のある作品となり、コミュニケーションデザインの枠を超えて、より絵画的なものへと昇華されています。技法的にはまだまだ可能性がありそうなので、次は社会とつながるデザインの現場で、彼女の感性の表現を存分に発揮して欲しいと思います。