絵画
素描
27.3x181.8cm
162.0x97cm
259x194cm
194x194cm
6点
「傷を負い、不完全となった人間の姿、痛みを抱えた人間の姿を見つめ、描いています。絵空事かもしれませんが、描く事でも、痛みを抱えた人間の声に耳を傾けられるのではないかと考えています。」横野奈々さんの言葉です。
不完全な美とはどのようなものか、彼女は四年間この点を一貫して探っていました。一年のデッサンの課題の中では、古代ギリシア・ローマ時代の像・石膏像の断面部分に大いに興味を持ちながら、身体の美について既に考え始めていました。
卒業制作であるこのシリーズでは、視点を身体の痛みへと深め、他者の痛みを自らに引き寄せつつ、今という時代をも捉えようと試みています。
木炭と鉛筆、色鉛筆によって描かれたデリケートな階調や質感は、手と目で撫ぜるように支持体に繰り返し触れ、繊細に積み重ねることによって成立しています。これらの素朴な素材が見せる表情も作品の大きな見どころとなっています。